息子の退院が決まり、1週間ぶりに帰宅した。ポストにはたくさんの郵便物。その中に私宛の包みがあり開けてみると、一通のお手紙と美味しそうなチョコレート。尊敬するイノさんからの贈り物だった。
イノさんとは焼き菓子店を営業していた頃に出会い、作品を展示販売させていただいたりもした。野山の草花を使ったリースや絵、街を切り取った写真やフェルトなど、個性の詰まったたくさんの作品を生み出されるのだが、中でも私はイノさんの書く文章が大好きだ。Instagramでは写真に添えられる言葉で、その場所にトリップできるし、作品ができるまでのストーリーを共有できる。そしてそれを読んだ後にじわりと、あたたかさを感じる。一つのエッセイを読んでいるような、そんな気持ちになるのだ。
そんな方からの手紙だからもう嬉しくて何度も読み返した。お手紙として、そしてイノさんの言葉として。ああ、やっぱり好きだ。

数日前に病室で、青山美智子さんの『木曜日にはココアを』を読んでいた。マーブル・カフェから始まる12のストーリーが絡まり合い、素敵なお手紙で締めくくられ、そのあたたかさに声を殺して泣いた。その直後にいただいたお手紙の内容があまりにもリンクしすぎていたので、もう号泣せずにはいられなかった。私の店で過ごしていただいた時間を、まるで物語のようにイノさんの言葉で残してくださり、その言葉が大きな丸い塊になって、胸の少し下の方でじわじわとあたたかさを放っている。おっきいプレゼントをもらったもんだ。簡易ベッドで固まっていた体もほぐれて来ている。
返事を書こう。私の好きな場所で。イノさんのように素敵な文章はうまく書けないけれど。思い出に浸りながら、機械ではない自分の字で、大好きなコーヒーを飲み、いただいたチョコをかじりながら。
コメント