【HUT’sレシピ】MY PIE

未分類

 私が焼くパイの特徴的な部分は、生のまま詰め込む具材のボリュームと、それを受け止めるパイ生地の食感だ。

 ハラハラと薄い層になっている折り込みパイとは異なり、さっくりざっくり、噛むほどにバターの味わいが増してくるパイ生地。練りパイに近い製法で、粉に細かく刻んだバターとショートニングをなじませ、水でひとまとめにして仕上げていく。

パイ生地 2枚分
材料
薄力粉 170g
強力粉 30g
グラニュ糖 20g
塩 6g
○無塩バター 80g
○ショートニング 60g
冷水 105cc

準備
○を細かく刻み、冷蔵庫で冷やしておく。(ショートニングは容器に入っているものが多いので、フォークで削り取るようにすると取り出しやすい。⇦必ず容器ごと冷蔵庫で冷やしておく!)

作り方
①粉類を合わせて、泡立て器でざっと全体を混ぜる。
②粉の中に○を入れ、カード(スケッパー)で切るようにしながら全体になじませる。
③冷水を全体に回し入れ(初めは100ccで様子を見る)、カードで手早く全体を混ぜ合わせる。ボウルの内側にカードを当てて大きく同じ方向に混ぜると粉全体に水分が行き渡りやすい。
④粉っぽさがなくなったら生地をひとまとめにし、カードで二つに切り分ける。
⑤それぞれの生地を丸くボール状にまとめたら、空気が入らないようにラップで包み、上から手で押さえて厚さ2〜3cm程の“おやき“のような形に整える。(この時、バターやショートニングが粒状ではなく、少し伸びたような状態だとgood!)
⑥冷蔵庫で最低1時間(できれば1日)休ませる。

★作った生地は冷蔵庫で3~4日保存可能。シングルクラストかダブルクラストか(下に敷きこんで焼く生地のみのものがシングル、アップルパイの様に上下でパイ生地を使うものがダブル)、作るパイによって生地をスタンバイさせておくとよい。特にダブルクラストの場合は、下の生地を使って上の生地を巻き込みながらフチを閉じていくので、分割する時に片方を10g程多くしておくのがコツ。

 以前ポートランドを訪れたときに入店したPowell’s Books。パイの本が欲しくて広い店内を探して歩いた。その空間に興奮し浮足立っていたので、おそらく料理本のコーナーを何度と行き来していたが目には入っていない。ようやく心落ち着いた頃にずらっと並んだパイ本を見つけ、吟味した結果分厚い4冊を手に取った。レジに預けることも出来たのだろうが、その後一時間近くその4冊を抱えながら店内の本を見て回り、結果二の腕がパンパンに。パイ本は最後にすれば良かったと相当後悔したが、この4冊は今もずっと側に置いている。

 ポートランドで購入したパイの本は、そこに載っているものを作るためではなく、私の心の支えとして購入した。そのビジュアルや使う材料を見て、そうそう、やっぱこういうものいいよね!と、自分の作り出しているものを勝手に肯定させていたのだ。

 自分の焼くパイは大好きで、そのこだわりは変えることはない。それはパイだけでなく、身につけるものや訪れる場所、カフェでの過ごし方や生活スタイルなども同じく。
 多くの人が『いいね』とするものに興味をもてず、流行りのモノへの抵抗も未だある。だから周りの人にも理解してもらえなくてもよいと思っていたし、自分がよいと思えばそれで良いという考えでずっと生きてきた。ただ時折、自分が好きな土地で、自分たちが作り出してきたジャンルの食べ物や空間を目にした時にはなぜか、ああ、これでいいんだと安心した。やっぱ良いよね、とほっとした。結局、誰かに認めてもらいたかったり、それいいね!と言ってもらいたかったりしたんだなと、その時ようやくその感情と向き合うことができたんだと思う。この先、少し素直に生きられるような気がした。

 パイから学ぶことは沢山あったが、単純にその美味しさを体感して頂きたい。日本には四季があり、旬の食材が豊富にある。チェリーやルバーブ、桃やかぼちゃ、苺やレモンなどなど。ハムやチーズを入れてもいいし、生地だけ焼いて、チョコをディップしても美味しい。ぜひぜひ、オリジナルのパイ作りを試して頂きたい。家中に広がるパイの焼ける香りは想像するだけで幸福感に満たされ、やがて襲ってくる空腹感。。。



 

コメント

タイトルとURLをコピーしました